政府や自治体は、段々と統制がとれてきた。実際のところどうなのかはともかくとして、コロナは怖い感染症だ、と言うところでは齟齬のないようにしよう、と言う方針で一致したようだった。

 

GoToトラベルもGoToイートも一気に消えた。

 

テレワーク要請、飲食店への営業自粛要請は強化された。その影で、いまだにパチンコ店や風俗店、マッサージ店への帰省は甘いけれども目立たないところは放っておこうと言うことなのか、献金のある業界はお目溢ししようと言うことなのかは判然としない。こんなことは一般市民に知れることではない。でも何か裏事情があるんだろうな、と言う雰囲気は漂っている。

 

途中で小池都知事が「豪奢品の売り場を閉めろ」と言い出したのは、ちょっとした統制ミスだったのかもしれない。ブランド品の売り場に人が多く集まってしまって感染の温床になるというストーリーはいかにも現実味がなかった。

 

この辺りで、政治と行政は必ずしもデータに基づいて施策を決めているのではないのだな、ということが多くの人にわかってしまったと思う。あの人たちの思考のレベル感というのが垣間見えた瞬間だった。だから、都心部の人流も減らないし、満員電車もあまり改善されなかった。要するに、みんな、この病気は本当のところは大したことないけど政治家と行政は大ごとにしたがっているから、これにわざわざ歯向かって不興を買うことはしたくない、という空気ができたと思う。

 

企業の動きが典型的だ。経営者が何を思ったか知らないが、あんな病気は大したことない、と言える雰囲気は無くなった。むしろ積極的に「新しい日常」「新常態」とか言い出して、テレワーク用品の販売とかに力を入れ出した。日本人として情けないな、と自分は思った。客観的に事態を見ていない。大した病気ではないと発言する経営者がいない。全部、政府の言うがまま。この国は滅びるかもしれないな、と思った最初の瞬間かもしれない。

 

実際、新型コロナは大したことないとか、これは陰謀だとかいう発言がSNS上でなされると、そのSNSの運営企業から削除されるという話も聞かれ始めた。それが本当なら、これはいよいよ政治なんだな、という感覚を自分も持つようになった。

 

実際のところは知らない。

 

でもこの病気は大したことない、と言える自由が奪われ始めているのだな、という感覚は持った。