20240430 円安を読む

4月も終わりますね。

 

昨日は音楽の集いに行きました。そうしたら、普段、経済のことなんか全く関心のない(ように見える)先生や生徒さんたちが、円安についてすごいよね、160円だってさ、これからどうなるんだろう、という話題で盛り上がっていて、意表をつかれたというか、そうか今回の円安はこんな遠く離れたところ?でも話題になるくらいのイベントなんだと実感しました。

 

で、帰宅して色々調べたので書いてみますけど、私は経済に関して何の専門知識も持たない素人の会社員です。人と違うところがあるとすれば、今の経済は政治のみならず陰謀とか軍事とかの視点を入れないと理解できないだろうなあと思っている、その視点だけだと思うので、トンデモ論になる可能性もあることをご了承ください。

 

まず今起きていることはドル高ではなくて極端な円安の動きですね。4月上旬に米ドル、人民元、豪ドル、インドルピー、香港ドルシンガポールドルが対円で上昇を始めました。ついで4月中下旬にカナダドル、英ポンド、ロシアルーブル、メキシコペソが続きます。そしてこの1週間の間にそれらの通貨と、加えてスイスフラン、ブラジルレアル、タイバーツ、マレーシアリンギット南アランドインドネシアルピア、トルコリラまでも雪崩を打って対円で急上昇が始まっています。世界中で円が売られているということになります。すごく急な動きです。

 

しかし円がそんなに弱い通貨だとは思えません。衆議院予算委員会江田憲司さんが財務省にまとめさせたデータによれば、日本は個人資産2,141兆円、企業等も含めた金融資産総額は9,704兆円、対外純資産419兆円、外貨準備190兆円、経常黒字20.6兆円ということで、どこからどうみてもピカピカの資産大国で稼ぐ力も強大であると。確かに景気はイマイチだし、個人は貧しくなっている感じがしますけど、それは配分の問題で、資産だけを見れば円は世界最強の通貨にふさわしい要素を持っていると。それは私もそうかなと思います。

 

ならばなぜ売られるかと言えば、売りたい人たちがいるからで、そこには何らかの企みがあるのではないかと疑って良いのではないでしょうか。

 

トランプは「ドル高は米国経済を破壊する」と発言しているので、いずれドル安に振れていく可能性は高いのではないですか。ならばなぜ今、ドルを買う人が多いのか。メディア上での説明は米国の高金利、日本の低金利、その金利差が主要因であり、FRBが高金利政策を続け、日銀が低金利を続けることが明らかになったからその傾向が加速しているのだというものです。

 

このことと軍事や陰謀論を組み合わせた説明として、私がそうかなと思ったのはやはり藤原直哉さんの解説で、今のアメリカは金利を高くしないとお金が集まらないのだと。官も民も借金しすぎて高利貸しに頼らないとやっていけなくなっているのが今のアメリカなんだというものです。金利を上げて通貨価値を維持するのは財政破綻国によくみられる現象じゃないか、潰れそうな銀行ほど預金金利を上げるだろう、などと言われればそれもそうだなと。他国の通貨はドルに強くリンクしており、円は切り離されている。そういう構造だと考えれば全面的円安は理解できます(ロシアルーブルに対しても円が下げているところは気になりますが)。

 

現行の米ドルは風前の灯という前提に立つと、見える風景が違ってきます。今の為替変動は、どの国の経済が調子が良いとか悪いとかの次元の話ではなくて、まさにドル体制の末期症状に円が巻き込まれている姿かもしれない、というイメージが湧いてきます。

 

一方で、この機に一儲けを企む連中もいて、投機的に円安を仕掛ける動きだって当然あるでしょう。それらの組み合わせかなと思ってみています。数ヶ月以内に円高に戻して、その後は一気に超円高に向かうというシナリオだってあり得ますが、その前に、今のドルとか円とか、そもそもどうなるんでしょうか。これかで通貨が乱れるなら、ますます金は上がるかもですね。私は買いませんが。