勤め先は政府から職域接種の話が出た途端に色めきたった。経営陣は、とにかく早く申し込もう、と担当部署を急がせた。自分は、まだ治験中だし、効能書きに劇薬と書いてありますよと進言したが大手企業から天下りしてきた副社長から国の方針に従い希望者に機会を与えるのは経営者の義務だ、と怒鳴られて終わった。

 

大手企業で天下りできるまでに出世した人でさえこの程度か、と残念に思った。感染症とかいう前に、人の話を聞かない。そのやりとりを目の前で見ていて、そうですね、機会を与えるのは大事なことですね、と言ってその場を収めた社長も大手企業からの天下り。反対しなかった役員の中には生え抜きもいたが、自分の意見に同調するものはいなかった。

 

結果して勤め先は職域接種を希望した最初の企業群の中に名前が入った。社長と副社長は満足そうだった。担当となった人事部長とコーポ担当役員は、国から配布される薬液はいってきたりとも無駄にしてはいけない、1回受けた人は必ず2回目も受けるようにと社員に通達を出した。誰の目にも、社長副社長肝煎のこの接種プロジェクトを成功させて次へのステップにしようとギラギラしていることがわかった。

 

それでも、若い社員は接種に否定的なのではないかと密かに考えていた。その考えは、希望者が社員の8割に上ったと聞いた瞬間に崩れ去った。家族も対象となっていて、接種者総数は社員数の3倍くらいになっていた。

 

この勤め先はちょっと危ない。初めてそう思った。

 

自分の感覚から言えば、そもそもコロナはそんなに怖くない。逆に、ワクチンの方は体に入れるものである。その中身は、わずか半年か1年で量産体制に入ったという信じられない薬液である。厚労省のホームページでその薬液の効能書きを見ると劇薬と書いてある。他人に移さなくなるかどうかはわからないと書いてある。重症化しなくなるかどうかもわからないという。長期的な弊害もわからないと書いてある。ただ1点、発症を抑える効果はある、というのだが、その根拠を見るとプラセボと2万人ずつ比較して発症が百人と十人とかそういう差である。なんだ、打っても打たなくても2万人のうち1万9900人は発症しないのね、と思った。コンマ数%の差はまあ誤差の範囲だろう。

 

そう思いませんか?と聞いたつもりだったが激した高齢経営者には聞く耳がない。社員の8割は、厚労省のHPを見ることもなかったのだろう。自分で情報を確認せずに体に未知の薬液を入れるという行動はなかなか信じ難いものがあるが、それだけ政府や大手薬品メーカーが信用されているということだろうか。これが7月初めのことだった。