ふと思い出したんですが、昔は、産業革命よりも前にイギリスの人口は増え始めたんだと教えてました。イメージとしては逆で、産業革命があって生産力が拡大したから人口が増えたんだと思いがちですが。統計では、確かに人口増の方が先です。
江戸時代の人口の増減を慶應の速水さんという教授(故人)が研究していて、江戸時代は1700年代に干拓など新田開発が進んで生産力が上がるんだけど、人口増は1600年代後半に起きたんだと言ってました。ここでも、生産力と人口増の前後関係はイメージと逆でした。
コロナが流行った時に疫病の歴史みたいな本がたくさん出てきて、その中の一部は目を通したんですけど、中国って凄くて歴史に残っているだけでもほぼ数年おきに大規模な疫病が起きている。衛生状態が非常に悪い国なんですね、昔っから。ただヨーロッパのペストにしてもコレラにしても、猛威を振るったとは書いてあるし、人口の7割が死んだ町もあるといわれていますが、ヒトって簡単には全滅しないようなんですね。必ず、生き残る人がいる。
私が一時期愛読していた経済人類学者の栗本慎一郎さんという人が、疫病(具体的にはウイルス)と人間との関係はとても不思議だと何回も書いていました。ウイルスは人間を絶滅させはしない。一方で、人口増にも関係しているようなんだと。
生産力が拡大する「前に」人口が増加した現象を説得的に説明した研究は不勉強で見たことないですが、栗本さんの仮説によれば、中世の人口が一定水準に抑えられていたのは、日本では間引きとかあったわけだが大きいのは乳幼児死亡率の高さであって、要するに赤ちゃんが風邪ひいて死んでしまうわけだ、これがどうしようもなかったのだと。ところが、産業革命前のイギリス、新田開発ブーム前の徳川日本では、なぜか風邪ひいて亡くなる赤ん坊が減った(なぜか風邪のウイルスがお休みした)。だから技術開発や大規模農業開発に必要な人口が充足できた、そう考える他ないではないかと。
では人口減少の後には何が起きるのか。これまた栗本氏の著書によれば、ペストがヨーロッパにもたらしたのは「近代」に通じる幾つかの現象だったということです(パンツを捨てるサル)。たとえば病の蔓延を防止するためと称しての「隔離」は14世紀のペスト流行時に始まった。またペストで人口激減したヨーロッパは生産力維持のためにアフリカとの奴隷貿易を拡大し、それが回り回ってアメリカ合衆国を生んだと解釈できないか、など。
日本のことを考えると、なかなか含蓄のある考察ではないでしょうか。元々、日本列島に住む日本人の数は急減しているわけですが、今頃になって労働力不足を一生懸命に政府やマスコミ大企業が主張しています。一方で奴隷貿易ではないですが、外国人労働者はとにかく入ってくれないとやってけないんだ、と。私の個人的な観察では、注射した人たちは明らかに仕事面での能力低下を起こしています。日本人の人数があまり変わらなくても、生産力は当然落ちているはずで、その割に株価が高いのがおかしいんですが、引き続き外国人労働者や外国人留学生を大量に取り込めという動きを続けたい人たちはそう言い続けるし、ある程度のことはやるんでしょう。
面白いのはそういうふうに動いている日本総督府の直接の本国であるアメリカで次期大統領になろうとしているトランプが移民排斥を言い出していることです。総督府は梯子を外される可能性がありますね。総督府自体が吹っ飛ぶ可能性もある。私は日本人3千万人で出直し派です。ウイルスと人口の関係がもしかして神の領域だとすれば、人口が減ったからといって人為的政策的ににそれを補完しようとしても歪みが大きく出過ぎる予感がするからです。奴隷貿易が起きるとは言いませんが。