20240206 何用あって月世界へ

自民党裏金もテキサス不法移民もフランス農民暴動も英米フーシ派拠点爆撃もジリジリと展開しているようだしそれなりにニュースやネットの書き込みには出てくるのだけれども、私の目に飛び込んできた中で一番、刺さったのがこれ。

 

NHK首都圏ナビというサイトで2月2日にアップされた日本の月探査機SLIMの活動紹介です。ご承知の通り1月20日に月面に着陸したものの、計画通りの天地左右ではなかったようで、太陽光パネルが太陽の方向を向いていないとかの理由で活動が制約されています。よくわかりませんが、パネルで発電できる時間帯もあるらしく、その間に月面の画像を撮って地球に送ってくるみたい。

 

で、同記事によれば月面の岩石を観測するチームの責任者は立命館大学の人で、その人は「岩石の写真は一つ撮れれば成功だと思っていたが10個も撮れたのは想定以上で本当に驚いた」と。観測した岩石の成分が地球のマントルと類似していれば、月が地球のマントルから誕生したとする「ジャイアンインパクト説」を補強する成果になります、と記事は伝えています。

 

あ、これはマジで月面に着陸したのかもしれないなと私は思いました。正直なところ、去年の9月にあったというロケット打ち上げを報じだニュースの記憶もなかったし、いきなり年明けから実は日本の探査機が月に近づいているんだということになって、なんじゃこりゃ?またスピン報道か、今度は何を隠したいんだ、くらいの感想しか持たない、まあ悲しい陰謀論者に堕していたわけですね、自分は。

 

この立命館大学の先生(だと思う)は正直というか、だってすでにアポロで何人も宇宙飛行士が到達していて、月面で活動しまくっていて、月の石だって何個も地球に持ち帰られていたはずじゃなかったっけ、というツッコミを全く想定しないでインタビューに回答している。それにソ連も中国もインドも月面に行ってたよね、というあたりも全くのスルー。岩の写真が1個撮影できればいいなんて、なんと控えめな。ていうことは、これって相当ハードル高かったんでしょうね。

 

そう考えると、発射から月到達まで片道4ヶ月を費やした(アポロ11号は7泊8日で往復した)とか、最大限頑張って100mの精度で計画通りの地点に着陸したとか、着陸はしたけれども計画通りの天地左右を実現できなかったとか、そのせいでパネルが然るべき方向を向いていなくて太陽光が来ない時は活動できないとか、太陽光が差さない時の気温はマイナス170度で、探査機はそれに耐えうる設計になっていないから機能が維持されるか心配だとか、今回のJAXAのコメントはいちいちリアリティがありますよ。これってひょっとして、人類初の月探査機着陸なんじゃないんでしょうか。

 

タイトルは、私かかつて愛読して変に影響された山本夏彦さんの言葉です。「月は眺めるものである」と続きます。月に関わる人たちも、眺めてると面白いです。