20230727 権力者は繁栄を嫌う

別に個人的な恨みとかはないが木原が非常に面白いので引き続き取り上げたい。文春によれば事件を捜査しようとした検察官に「お前のクビなんかいつでも飛ばせるんだぞ!」と彼は凄み、その直後に上司から操作の打ち切りが告げられたという。ああ、これだ。これ。

 

読んでいて、私にとっては他人事だからクビなんて飛ばされたっていいじゃんと思ったりするが、やはり本人にとっては圧になるのだろう。生殺与奪の権を握るのが、彼らが好き放題するための常套手段。ビッグモーターも然りで、悪いことやってまで儲けなくていいじゃん、と普通は思うと思うが、その構図の中に取り込まれてしまうと上に対しては何もいえなくなる。それは、クビになったら怖い、破滅だ、という意識が支配される側にどうしてもあるからなんだろう。

 

クビになってもいいや、他に勤め口はいくらでもある、という社会環境だったら、彼らの恫喝による支配は成り立たなくなる。

 

その成果、支配層は歴史的に、好況とか反映とかを嫌うようだ。世の中は不景気な方がいい、全体が貧しい方がいい。なぜならば、雇ってやっている、いつでもクビにできるという脅しが効果を発揮するから。

 

江戸時代に三代改革というのがあったと思うが、どれも緊縮経済、財政再建が誉められる話であって、庶民は質素に、堅実にという思考だ。田沼意次の時代は元禄の経済繁栄と豊かな文化が花開いた時期だが、政治的には汚職が蔓延ったなどとして批判される。昭和のバブルもやたらとディスコの動画など流して乱れた時代だったという印象操作が行われる。そういえば、当時、極端な利上げでバブル退治を推進した日銀総裁三重野康佐高信から「平成の鬼平」と呼ばれた。鬼平は善玉だから、怪しからんバブルを撲滅する正義の味方という意味だ。

 

国民が豊かになるとどうなるか。政府の言うことなどあからさまに聞かなくなる。頑張って、苦境に耐えて、理不尽を我慢し続ければ雇い続けてもらえる。そうしなければ生きていけない、そう言う状況を上位層が好むのはまあ当然ではないか。今時の国家公務員など、めちゃくちゃな自公政権のために、嘘をついたり国民に迷惑をかけることに邁進しなければならない立場なんだから辞めたい人はたくさんいるだろうに、まだ多くの人が残っているのは、多分、自分が他の組織に移ったら給料が下がるとか一生の面倒を見てもらえなくなるとかの恐怖感があるからではないか。あと、仕事が意外に楽なのかも。

 

でも時代は変わりつつあるんだろう。ジャニーズも統一教会ももうダメ。内部告発どんどん出てこい。理不尽なことは世の中に晒せ。変な忖度はするな。そんな雰囲気がもっと広がっていけば、きっといっぺんに住みやすい世界になっていく。だって、恐怖心で支配している上位層ばっかりだから。