20230828 不思議な汚染水議論

廃炉汚染水の海洋放出が始まった。丁寧に関係者に説明すると言っていた岸田は地元漁協と数日前に一回あったようだが、それで済ませて放出を始めた。ふょきょうは納得してないと言っている。岸田には決断力がないとの評価があるが、実はこういう点ではものすごく決断力を発揮する。

 

中国や北朝鮮がそんな危ないものを海洋放出するなと反発して、中国は日本の海産物を輸入禁止にした。日本政府は遺憾の意を表明し、中国は感情的に反発せず科学的根拠に基づいてものを言ってこいと偉そうに言い返している。

 

その科学的根拠の話で不思議だなと思うのは、トリチウムばかり取り上げられるが他にヨウ素129、ストロンチウム90、セシウム137、プルトニウム239も基準値を遥かに上回る濃度であるのだと、他でもない東電の公表データから読み取れるのだそうだ。だが東電は、トリチウム以外はALPSという除去設備によって基準いかにできるから問題ないのだと報告しており、政府はそれを信じて許可しているという構図である。みんな、この後に及んで東電をそこまで信用するのか。

 

また、ALPSで除去するというトリチウム以外の放射性物質はどう処理するんだ。

 

中国と北朝鮮は、そこのところを突いてこない。これも不思議である。科学的根拠に基づいた指摘はしようと思えばかなりえげつなくやれる事案でもあると思う。

 

さらに不思議なのは、濃度の議論はあるが総量の議論を聞かないことだ。初日の放出が終わった後、その近くでヒラメかなんかとってきて、刺身にして検出器に入れてトリチウムは検出されなかったと鬼の首でもとったように報道しているが違うだろう。これから30年も放出し続けるその初日だぞ。いきなり検出されるとは誰も思っていないはずだ。累積量というか、総量が問題なんだとなぜ誰も言わないのか。

 

もっといえば、1950年代までくらいかな、太平洋ってものすごい核の実験場だったでしょ。その頃も放射性物質は撒き散らし放題だったはずなんだよね。あの頃フランスが原爆水爆でばら撒いた放射線物質に比べれば大した量じゃないから大丈夫ですとか、そういう意見も聞かないなあ。

 

全体感として、おそらくは問題ないんだろうけれども、東電と日本政府は、やっぱり何か隠していると思う。爆発した一号機はGE製だとか、原発の安全管理をやってたのはイスラエル企業だとか、そういう報道が一切なされないのと同じく、東電が全部ひっかぶって、只管「安全です」とこわばった表情で言い続けている絵柄は、なんかおかしい。

 

一体、原発って何なんだろう?