20240213 アフガンにみる日本の近未来

トランプは世界各地の米軍を引き上げさせると言っています。日本から米軍が出ていくとどうなるか。少しずつ考えていきますが、その第一弾として、アフガニスタン(以下アフガンと略)の例を少し勉強しました。

 

アフガンは旧ソ連が駐留していましたが1989年に撤退、内戦状態に陥ります。秩序の回復を目指して神学校に通う学生らが1994年に結成したのがタリバン。アフガン混乱で難民流入が危惧されたパキスタン政府が後ろ盾となりました。1996年にタリバンは首都カブールを制圧し「アフガニスタン・イスラム首長国」を目指すとして、イスラム生活様式の推進(というか強制)、外国支配の排除などを進めたと言います。

 

2001年米国の同時多発テロ犯人はアルカイダだとされ、タリバンがこれを匿ったとしてブッシュ政権はアフガンに派兵。多勢に無勢のタリバンは地方部に散りアメリカ傀儡政権が樹立されて政府軍や警察の拡充、女性の人権拡大、公正な選挙の実施などの施策を推進。しかし2021年米軍撤退直後のロイター通信は「米国はアフガン安定を求めるあまり影響力はあるが腐敗と人権侵害に塗れたアフガン人と組んだ」「例えば腐敗した司令官が実在しない兵士を名簿に乗せて給与を横取りする『幽霊兵士』問題などが起きた」と記しています。初代大統領のハミール・カルザイ氏は一家の汚職が目に余るとして米国のアフガン系大学教授ガニ氏に後退させられました。このへんは、日本の現状とダブらせて読むとイメージが湧きます。

 

2009年オバマはアフガン安定化を重視するとして米軍増派。駐留人数は9万人(在日米軍は約5万5千人)に到達。あまりに経費がかかり、また現地政府の汚職もあって不安定な状況から脱せないこともあり2017年からトランプ大統領は撤退の模索を開始、現地政府の頭越しにタリバンとの交渉を始め、撤退の道筋をつけます。なぜかバイデンがこれを引き継ぎ、2021年に撤退したわけですが、その余りの稚拙さが却って問題視されたことはよく知られた通り。

 

タリバンは政権復帰後、悪評が絶えません。ヒジャブの着用義務化、女子学生の通学制限、女性国連職員の就業制限、女性用美容院の営業禁止などの評判が悪いのですが、これは西側で推進中の女性の社会進出と距離をおいてイスラム的価値観の具現化を進めているからでしょう。一方で、米軍駐留時にはほとんど地方に届かなかった医薬品や食料などの支援物資がきちんと届くようになったとか(中抜きされなくなった)、治安が良くなった、麻薬取引が減った、などの報告や報道があることも事実です。これも、日本の将来を考える上では参考になるところだと思います。

 

2021年の米軍撤退は、非常に慌ただしく行われたわけですが、残された総督府政府の要人たちは悲惨だったようです。撤退にあたりバイデンは「アフガンの指導者たちは結束して自らの国家を守るために闘わなければならない」と突き放しました。そしてカブールがタリバンの手に落ちた後、「戦う意思のない国のために米国兵の血を流させるわけにはいかない」と、自分達が作った傀儡政権に集った人々をあっさり見捨てたのです。オースティン国防長官もカブール陥落に関して「失望を通り越している。リーダーシップや戦う意志はお金では買えないものだ」と追い打ちをかけたコメントを発表しています。傀儡政府の要人やその家族は、米軍が撤退したらタリバンと民衆になぶり殺されるとおそれ、空港で離陸しようとする撤退米軍機に押し寄せ、翼につかまろうとし、振り払われていました(動画あり)。おそらく、これと同じようなことが、自民党とその周辺の多くの人たちに起きるのでしょう。

 

今日は、ここまで。