フーシ派はイエメンに存在するイスラム教シーア派の一派だという。シーア派は、前にも書いたけどイランとその周辺にしか存在しないローカルな宗派であり、東南アジアやアフリカを含めて世界に広がったのはスンニー派。歴史的にはシーア派の方が古いらしい。だからプライドは高そう。細かな宗派の特徴の違いは私が俄か勉強して書くべきでもないと思いますが、この「ローカルにとどまる」「世界に広がる」の違いは事実だし、宗派の大きな違いを表していると考えて間違い無いでしょう。想像するに、あまり勢力の拡大に興味がなくて、色々こだわりを持っているのはシーア派の方だろうなあ、と考えるのは自然なことだと思います。こだわり集団ね。相対的に。こだわり集団の中で分派した更なるこだわり派がフーシ派。
このフーシ派が、ガザを支持してイスラエルに関係する船舶を紅海で襲撃していて、けしからんということでイギリスとアメリカがフーシ派の軍事拠点を空爆する展開になっています。で、フーシ派が何と言うかというと、イスラエルがガザ侵攻を止めるまでは引き続きイスラエル関係船舶を攻撃するぞ、またサウジアラビアが英米に空域を提供したのは許せん!(そこを通ってイエメンまで空爆機が飛んできたんだろう)というものでした。
一方で一時は地中海東部地域まで入り込んできた米海軍の空母の一部は、既に帰路についているという報道もあります。入り組んでますね。サウジも一方では中国との間で原油を中華人民元で決済して売りますよという話を進めていて、既に一部では成立しているという話も聞きました。決して、完全な英米側というわけではなくて、BRICSにも片足突っ込んでいるわけです。
さらに言えばバイデン政権はブリンケン国務長官が何遍も中東を訪問して、イスラエルは民間人の虐殺をやめろ、と諭しているし、バイデン自身が、早く停戦しろよと促す発言をしていて、必ずしも民主党政権がイスラエルの行為を支持していないことも見えているし、イスラエルはアメリカ政府が何と言おうとハマスを殲滅する姿勢を崩しません。そしてなんとトランプはイスラエル支持を繰り返し表明しているわけです。
以上の報道内容を整合的に説明できる人はいるのでしょうか?
私が読んだ中では、「(今の)イスラエルはユダヤではない」という見方は一つの重要なポイントだと思われました。これも何遍も触れてきましたけど、シオニストはユダヤ教に反するらしいです。アメリカ民主党政権がイスラエル政府の暴走を止めようとしているのは、このままだと現イスラエル政府(シオニスト)が世界から支持を受けられなくなり拙いから。とはいえ本音は隠せないからイギリスと組んでイスラムを攻撃してしまう。一方のトランプが有権者に向けてイスラエル支持を主張するのは、聖書に記載されたイスラエルを支持しているのであってそれが現イスラエル政府を意味するものではない、という理由説明ができそうです。
イスラムの方は分かりにくいけど、シーア派、フーシ派は立場がはっきりしてるからブレないように見えますね。で、スンニー派のサウジはある意味両建てでふにゃふにゃしながら失点しないように気をつけているのかな。
などと分析めいたことを書いたものの、私個人の見方としては、全体としてこれは「やらせ」の雰囲気が濃いなあ、というものです。イスラエルの立て直しをみんなで演出しているのではないかという疑問がずーっとあります。その立て直しが、国家体制を維持したままやるのか、一旦潰すのか、わかりませんが、シオニスト政権ではいろんな意味で今後は立ち行かなくなる。ただそれを刷新するにも一定のプロセスが必要だからそれをやっている、そんな受け止め方をしています。ただ今回の英米によるイエメン(フーシ派拠点)攻撃は何なんだろう。英米現体制もイスラエルと道連れになるつもり!?英キャメロン外相がかなり強硬なようですけど、彼は隠れ多極派だとの観測もある点が気になります。