20231128 知識と知恵

メガバンクグループの社長さん、ひとり亡くなりましたね。65歳、死因は膵臓癌だとか。このレベルの人になれば健康診断を年2回くらい綿密にやっていると考えて良いだろうから、進行が速かったのでしょう。となると隠語で最近チクワとか言われている、あれが原因なのかなあという印象を持ちます。

 

別に、不思議じゃないですね。自分の知っている範囲でも、大企業の偉い人たちはみんな打ってる。射ってると書く場合もあるみたい。このことは何度も書いてきたけれど、高学歴で大企業で偉くなる人たちにはある種の共通性があって、それは簡単に言えば権威に従って疑わないところ。地図が与えられれば目的地まで最短時間で行く。地図が一部欠けていれば創意工夫で補う。ただし、なぜその目的地に向かうのかは深く考えない。そういう訓練を長年にわたって受けてきた人たち。そういえば、早稲田と慶應が接種率の競争をしているという記事も見ました。東大京大はどうなのかな。

 

翻って、これも何度も書いたけれど、思い出すのは親戚の集まりで昭和一桁生まれの老婆との会話で、自分が「(政府やマスメディアは)煽りすぎな感じがする」と言ったところ「そうだね、戦時中みたいだね」と軽く応じて、要するに政府やメディアが煽ってきたら信じてはいけない、という考えを披瀝してくれたことです。このお婆さん、別に学歴があるわけじゃない。知らないけど中卒か、良くて高校までしか行ってないと思う。でも、ある意味、上場企業の社長より賢い。

 

これってなんだろう。ずーっと3年くらい考えてます。

 

生来の勘の良さ?いやあ、勉強ができて高学歴の人は、だいたい勘もいいですよ。ただ、その生来の勘の良さが、長年学校教育を受けたり、企業の中で仕事をしたりしているうちに、鈍ってくるんじゃないのかな、というのがひと月ほど前にも書いた自分の現時点での見立て。だからと言って、教育がなければみんなもっと賢いぞとも言いにくいし、この問題はなかなか解決が難しいなと思う。

 

孫泰造さんの著書「冒険の書」がベストセラーになってます。読みました。言っていることは自分の考えと重なっていて、勉強しすぎると失う物がある。これから大事なのは勉強したことから自分を解放する「アンラーニング」だ、という主張です。いいですねえ、アンラーニング。これからの時代のキーワードになりそう。

 

学習は必要だ。しかし学習したことにとらわれるな。なんだかブルース・リーみたいだな。マイルス・デイヴィスも「楽理を全て勉強しろ。そして忘れるんだ」という謎の言葉を残していたようで(スタジオノアの壁面に書いてあった)、偉大なアーチストや武道家は何か掴んだのだろうか。ただ、まあ、普通のお婆さんにできることなんだから、全然難しくないのかもしれない。

 

知識がなければ知恵は生まれないが知恵は知識から生まれるものではない。では、知識から知恵へと我々を導くファクターXは何なのだろうか。このテーマ、まだ何回も書きそうな気がする。これ、特定できたらすごくないですか?