20231126 トルコから読むイスラエル

トルコはイスラムでありながらNATOに加盟している独特な国である。エルドアンという人も、昭和の日本の政治家みたいでなかなか本心を見せない狸という印象がある。しかし、何らかの意図を持って動くであろうことは他の国と変わらない、という前提に立てば、面白い分析が生まれてくるようだ。

 

田中宇さんの最新の投稿では、イスラエルは2カ国解決(イスラエルパレスチナの併立)をやる気がない。ガザからはパレスチナ人を完全に追い出そうとしている。追い出されたパレスチナ人(ハマスを含む)は国際的な圧力に負けたエジプトが引き取り、その結果エジプトはイスラム化が進展して大きな意味でイスラム勢力にとって悪いことではないだろう、その感覚をイランもトルコも暗に共有しているのではないか。状況証拠としてイランはイスラエルを非難するだけで行動に出ていないし、トルコは今でもアゼルバイジャンから来た石油をイスラエルに輸出している。止めていない。(しかしロシアもEUへのガス供給を続けてはいるよね)

 

一方で藤原直哉さんはトルコがイスラエル沖に千を越える船舶を出航させて海上封鎖とも見られる動きをしていることに注目する。イスラエルがこれに反発して少しでも攻撃を仕掛ければトルコは応戦するだろう。トルコはNATO加盟国だから集団的自衛意見が発動され、イスラエル英米独仏その他のNATO加盟国に対して牙を剥いたことになる。NATOは応戦するか。しないだろう。とすればNATOって何なんだということになり、結局自壊していくしかないのではないか、と。

 

ハマスイスラエルが作った、という点は、それなりの識者の間では一致した見解のようだ。その背後にアメリカがいる、イギリスがいる、等々の分析もあり、それなりの説得力がある。が、「現在の」ハマスが当初の設立経緯を維持してイスラエルとプロレスをやっているのかどうかに関してはいろんな見方がある。ハマスはある時点で方針転換しイスラエルの意に反してイランと結びついたという見方がある。とすれば今の紛争はプロレスではなくて真剣勝負なのかもしれない。さらに疑えば、イランとイスラエルは本当に不倶戴天の敵なのかという疑問すらありうるように思うのだ。

 

ガザでイスラエルから攻撃を受け倒壊するビルの映像をいくつも見たが、いずれも綺麗な計画倒壊にしか見えない。要するに、ビル内部に爆薬を配置し、周囲に瓦礫が飛び散らないように倒していく高度な破壊技術が使われている。これは911でも同じだった。普通の、言ってしまえば民生技術だ。だからエンジニア系の人は勘付いていると思う。爆撃の少なくとも一部はフェイクであり、どうもイスラエルハマスは今でも通じているようだと。ガザを更地にして、たぶん再開発かなんかやるんじゃないか。

 

ということで、真相は外部のものにはわからないし、実際には当事者たちもいろんな動きの中で都度最適解を求めていくという意味では誰と誰が敵同士で誰と誰が味方なのかというような単純な構図には収まらないのかもしれないが、当面、注目点の一つはトルコなんだなと思った次第。また、これだけ悪事をやった(と報道された)イスラエルを今後、G7やBRICSがどう扱っていくのかも見所だと思う。