20231015 終わるのは何か

銀行のシステムが不具合を起こして大変なことになりましたが、現場で復旧作業をしている人たちは金融機関の正社員でもなければ、請け負ったIT企業の正社員でもなければ、その委託先の正社員でもなかったりします。ITの世界、というか日本のITの世界はまんま建設業におけるゼネコンと下請けの関係をコピーしたような構造で、最も重要な部分を具体的に解決しなければならないミッションを負った人たちの年収が400万とか。システムが安定稼働することを前提に威張っているメガのトップの年収が数億円とか。二桁の違いが出ているけどそれどうなのっていう問題が一つある。

 

それで建設の世界はどうなのかというと、営業と受注は立派なゼネコン様が行い、仕事が生まれたら、それを遂行するオチうか実行する下請け、孫請、さらにその下の曾孫請け?の人たちが一生懸命頑張って仕事をこなし、納品して検査受けて完了して支払いに移ると。ゼネコン様の平均年収はおそらく1千万円を超えていて、下請けは500万、孫請は400万、さらにその下は300万円未満ではなかろうか。こういう統計が欲しいな。

 

仕事ってなんだろう、と思うことがあります。ビルの建設でもITシステムの構築でもいいんですけど、実際に、具体的に、そのものを作ってくれている人たちの報酬は異常に安い。そのフェーズに関わっている人たちは、技術の習得に多くの時間を費やし、現場経験を多く積んで、その結果習得された技術力に発注者は信頼をおいて仕事をお願いする。そういうことだと思うんですけど、報酬は低い。実際に実行する人たちの報酬は低い。

 

営業に来て、鬱陶しいなと思われながら接待したり提案したり、あの手この手で発注を誘導する人たちは、大抵上位組織(サブコンに対するゼネコン)に所属していて、高い給料をもらっています。

 

この構図から見えるのは、仕事を作る人間が偉い。作ってもらった仕事をこなすだけの人は価値が低い、という思想なんだろうな、と感じます。

 

なんか、これから先、こういうのが終わっていくかもしれないな、と予想してます。

 

技術力があって、しっかり仕事をこなせる人たちって、私の知っている範囲内の話に過ぎないかもしれませんけど、自己アピールが下手で、目立たないし、目立とうとしない。でも実際の日本社会を支えているのは、間違いなくこのような人たちであるはずで、もっともっとリスペクトする文化を醸成していかなないといけないと感じています。

 

口先だけの営業マンが実際にシステムを作るエンジニアよりも高く評価される社会は良くない。

 

ただ問題は、職人的な人って、リスペクトされることすら慣れてないというか、下に見られることに慣れてしまい過ぎたというか、対応できないんだよな。頑張れよ、プライド持って堂々と最前線に出てもいいと思うよ。