20221011 資源国の優位性とは

EUは脆かった。

 

地球を救えとか未来への投資とかカッコいいことばかり言って世界をリードするイメージだけは発信してきたが、ロシアからガスを締められたらもう一冬も越せないという。

 

ドイツの企業は今年の冬はオフィス室温を15℃に下げる。寒くて耐えられない従業員はリモートにしてくれと。

 

私はこの逆転現象をさまざまにアナロジーしてみたくなる。

 

元請と下請けという関係がある。建設業でも製造業でもサービス業でもなんでもこういう構造を持っている。例えば鋳型。これを作れる大企業はいない。しかし買い手が優位に立つという日本の商慣習から、鋳型は買い叩かれる。アセンブラーがEUで、鋳型工場がロシアだと思えばいい。アセンブラーであるメーカーは消費者に向けて我が社の製品は未来的で最先端で魅力たっぷりでとアピールする。

 

鋳型工場が方針を変える。もうお宅には納品しません、他に志を同じくする買い手がたくさん見つかったので、と。

 

もうアセンブラーはその自慢の製品が作れない。

 

こんな感じかな。

 

ウクライナの戦争は、鋳型工場からまだ搾り取ろうとするアセンブラーの最後のイジメだろうか。なにしろ、それがないと自分達の存立が脅かされるわけだから必死である。

 

ロシアが起こした変化は、こういった産業界にも波及してくるのではないかと考えるのは飛躍し過ぎだろうか。

 

本当に価値のあるものを世に送り出しているのは誰なのか。そのことに対して、我々はこれまであまりにも無関心だったのではないか。

 

大企業は、自分達の存立基盤が実は外部にあることを再確認すると良いと思う。いや、その前に、従業員にあることも再確認する必要がある。決して株主ではない。そして、その存立基盤を形成している存在に対しては、それなりの敬意を持って遇すべきだろう。そうでないといずれEUみたいになるぞ。