2023年7月25日 新しい寛永時代

政府は永続するものではなくて時々交代する。時々倒れる。これは歴史的事実なのに、なぜか同時代人はその感覚を持っていない。

 

そもそも江戸幕府の前に江戸幕府はなかった。明治政府の前に明治政府はなかった。今の政府を戦後政府と呼ぶならば、戦後政府の前は明治政府だった。中国も、中共の前は中華民国で、その前は清でしょ。ロシアも前はソ連だし。その前はロシア帝国。政府はどんどん変わる。ただそのインタバルが70年とか80年だから、人の一生との長さの関係で、みんな自分が生きてるうちは今の政府は変わらないんだろうと思っているに過ぎないのではないか。

 

政治を見ていると、ああこれは末期だな、選挙やっても変わらないな、体制はひっくり返るなとの感触が強くなってくる。日本だけではなくて、その親分のアメリカがまず危ないだろう。バイデン政権は機能しているのだろうか。国家債務31兆ドルは大丈夫なのか、どうするつもりか。いや日本だって、景気が悪いから財政出動しろと一部言論人はいうがお金ないだろう、これ以上お札を刷り増してどうするのかと普通は思うと思う。

 

藤原直哉説は、アメリカは連邦政府を逆賊認定して葬り去り、その借金はチャラにするのだというものだ。笑ってはいけないと思う。ありうるんじゃなかろうか。そうすれば日本も共倒れだろう。政府を作り直す作業が行われる可能性は否定できないと思う。

 

その時、どういう世界が目の前に展開するかは、歴史が参考になるかもしれない。江戸幕府ができてから30年くらいは不穏な時代だった。日本各地に豊臣系の有力武将が存続していた。幕府の財政基盤も確立していない。山田風太郎横山光輝が描く忍者もこの時に暗躍した。服部半蔵の時代である。凄まじい情報戦の結果、中央政府たる徳川権力が徐々に確立していったと見られる。不穏な時代は、主に寛永だ。

 

明治も、幕府を薩長がひっくり返したあとは戊辰戦争だとか明六政変だとか大久保暗殺だとか不穏な時代が20年は続いた。憲法が定まってようやく落ち着いた感じか。ただ、その間に鉄道敷設とか新しい時代の様相は確実に展開していたのも事実。

 

昭和20年代は上記に匹敵する不穏な時代だった。下山事件松川事件三鷹事件、何しろ占領下だ。非行や犯罪も暴力も猛威を振るった。落ち着いてきたのは独立してからだろうか。

 

日本では、政府が長く続くと硬直化して利権が固まって社会がうまく回らなくなる。そうなると、政権はやっぱり交代する。そして5年から20年くらいは混乱する。

 

来年あたりから、しばらく混乱の時代が来そうな予感はある。