20230316 株屋の世界観で作る世界

シリコンバレー銀行、当地の新興企業(シリコンバレーだし)が投資家から受け取ったお金を預けていたのだそうだ。その運用先が米国債で、金利が上がったから資産価値が暴落、要するに買った値段で米国債が売れないことが明らかになってきて、信用不安が生じ、お金を預けていた新興企業の経営者たちが預金を引き出したということだ。これはあらかじめ予想されていたことのようで、シリコンバレー銀行の幹部たちは取り付け騒ぎが起きる直前に保有した自社株を売り払って現金に変えたいたとの報道あり。

 

訳のわかっていない日本の経済界の偉いお爺さんたちの中には、日本はイノベーションが足りない、シリコンバレーを見てみろと騒ぐ人も少なくなかったが、見てみろ。この程度のものだよと。

 

ちょっとでも事情を知っている人はシリコンバレーが実体的には何も生み出していない、実相は株屋(投資家と呼んだりもする)の儲け話しかない土地柄であることに薄々勘付いていると思う。だって話題になるのがUberとかでしょ。GoogleFacebookもあるじゃんというけどあれは軍資金で作ったハリボテだから。内発的な、画期的なものが何かあれば教えてくれ。

 

あそこがハリボテなのは、株屋(投資家ともいう)の世界観で作られた空間だからだと私は常々考えてきました。それはどういうものかというと、詐欺でもいいから手元資金を増やすためにはなんでもやるぞという文化。

 

そもそもIPOが起業家の目標だなんて誰が決めたんだろうね。まともな経営者なら上場なんてできればしたくないと思うでしょ。大事に育てた子供のような事業を、さあ買った買った、と言わんばかりにマーケットに出すということだから。とんでもないことだと思う。で、後悔した株を手にした連中は、役員を選んだり配当率を決めたりという根幹の部分に関して持株に応じた決定権を持つって言うんだからどうしようもない。金のガチョウを育てろ。いいとこまで育ったら寄越せ。株屋(投資家とも言う)はこう言っているのだ。

 

資本主義は巧妙に制度が造られていて、株式会社では株主オールマイティであり、その権利は金で売り買いできることになっている。こんなものを社会に押し付けたのは、株屋(投資家とも言う)の横暴ではないかと思うよ。

 

魚心と水心で、そう言う株屋(投資家とも言う)がいて、儲かる事業を作ったら高値で買ってくれるとわかれば、それを目標に事業を起こすという奴隷(起業家ともいう)が生まれる。彼らに事業を愛する心はない。詐欺でもいいから「儲かりそうな」雰囲気の事業らしきものをでっちあげる。中には、期待感だけで巨額のお金を集める例もある。売上もないのに株価が異様に高くなる例もある。全部インチキだと思ったらいい。そこにあるのは欲だけだ。

 

シリコンバレー銀行は、そう言う土地で商売していた銀行だ。関係者は全員、欲で動いているから、ダメかもと思った瞬間からの動きは早い。連鎖もするだろうし、詐欺まがいの事業や投資はどんどん潰れていくのではないか。そういえば最近、ソフトバンクのニュースも聞かないが大丈夫かな。どうも、株屋の世界観で作った世界が次々と崩れていっているような気もする。