オリンピック終わりましたね。いろんな話題がありましたけど、私的に印象に残ったのは2点。一つは、白人どこに行ったんだと。米国のメダルはほとんど黒人が獲ってます。英仏も同じ。大雑把な印象では、フィジカル系は黒人、スキル系はアジア人、格闘系はスタン界隈、球技はラテンと黒人って感じでしょうか。白人系の活躍はわずかに水泳くらいかな。
もう一つは射撃に出てきたトルコ人のおじさん。51歳で銀メダル。全くの普段着で他の選手のような特殊な装備を一切身につけず、左手をポケットに突っ込んだまま正確に的を撃ち抜く姿は退役軍人ということもあって「トルコは本物のヒットマンを寄越した」と話題になりましたが素直に素敵だと思わされました。閑話休題。
今日、8月13日はいわゆる「アブラハム合意」にUAEとイスラエルが署名した日だと記憶されています。2020年だからもうあれから4年。トランプ政権最後の年の夏でしたね。アブラハムはユダヤ教、キリスト教、イスラム教の共通の祖だということで、中東は紛争を終わらせて平和を目指そう、共に経済的な繁栄を実現するために相互交流を始めようという触れ込みでした。その後、バーレーン、スーダン、モロッコが加わりました。宗教、人権、外交、技術や芸術の交流など多くの分野を盛り込んだ協定文書には、ただパレスチナ問題について触れることがなかったと言われています。
自分達の土地(と当然思っていた地域)に突然出現した異教徒国家イスラエルとどう付き合うかはアラブ諸国にとって難問で、何回かの中東戦争を経て最初にエジプトが日和ってキャンプデーヴィッド合意(1979)で和平を結び、その後PLOが日和って1993年のオスロ合意に至りましたね。まあ経済的利益優先ということでしょう。これらの歴史的イベントにおいてもアラブの国々がイスラエルを認めるか認めないかが最大の焦点で、パレスチナ難民の問題は先送りされていました。
これらの終わった話はもう良いとして、私が気になるのはアブラハム合意を推進したのはトランプとネタニヤフだったことです。二人は、渋々サインするUAE代表に多少の気遣いは見せながらも、素晴らしい合意ができたではないか、と誇らしげに世界にアピールしていたと思います。
その後の展開は見ての通りですが、もう一点。トランプはずっと中国とイランを敵視してきました。あるいはそのポーズを崩していない。彼はイラン核合意から離脱して制裁を継続し、イラン軍の重鎮を暗殺しています。イランはイスラエルと敵対しており、その背後にはロシアがいると報道されています。いうまでもなくプーチンとトランプは昵懇です。一方でトランプは、シオニズムを非難する発言を全くしません。ここが複雑怪奇なところです。
アメリカ大統領選挙は、パレスチナに一定のシンパシーを示し虐殺をやめろとシオニスト政権に働きかけるバイデンの路線を引き継ぐ極左のハリスと、アメリカ第一と言いながらシオニストを批判しないトランプとの対決という構図になり、当のイスラエルは恐らく数ヶ月のうちにイランとロシアの圧によって崩壊するという、そういう展開のように見えるわけです。
副島隆彦さんのサイトにかたせ2号さんという人が投稿して、この問題を延々ととんじています。そして苦しい結論が、トランプはシオニストのふりをして、実はその解体を狙っていたというもの。さて、どうでしょうか。確かに最近のトランプは、ネタニヤフがわざわざフロリダまで会いにきても、そっけない態度をしています。これ、日本にとっても重要なポイントだと思います。