イランの新大統領就任式に出席のためテヘランを訪れていたハマスの幹部ハニーヤ氏が7月31日、滞在先でドローンまたはミサイルによる攻撃を受け死亡との報道。イスラエルは犯行声明出さず。客人を首都で殺害されメンツを潰されたイランの最高指導者ハメネイ師は報復が我々の義務と発言。ハニーヤ氏の追悼式典にイラン軍部首脳は現れずイスラエル攻撃準備に勤しんでいるのではとの憶測が飛び交う。
これに先立つ7月30日、イスラエルはレバノンの首都ベイルートでヒズボラの指導者を殺害したと発表。翌日、ヒズボラもこれを認める。さらに8月1日、イスラエルは7月中旬に行ったガザへの空爆でハマスの司令官を殺害したことが確認されたと発表。
大手メディアが一斉に書き立てているように、イスラエルはかなり積極的に中東地域の全面戦争を誘発すべく動いているように見えます。例えば日経新聞は、イスラエルはこうやって事態を悪化させて、アメリカとイランを戦争に引き込もうとしているのだとしています。先日のネタニヤフ訪米はその地ならしだったのだと。
4月にイスラエルがシリアのイラン大使館を攻撃しましたね。イランはこれに反撃、イスラエルの地上軍事施設にミサイルを打ち込んで、矛を納めました。イランは穏便だと思われましたが米国はエキサイトしてイエレン財務長官はイランへの報復措置発動と発言、米英両政府はイランへの経済制裁を宣言。
以上の流れを見ると、いつものように、戦争に引き摺り込みたい相手(80数年前の日本、2年前のロシア、今回のイラン)に対してトラップを仕掛け続けているものと感じられます。さあ攻撃してこい、出てこい、と。
どこまでガチなのか見極めることはできるでしょうか。そもそもイスラエル建国が国連で決まった時にアラブ諸国は結束して反対し1973年までに4回の「中東戦争」が戦われています。PLOのアラファトが出てきて和平を模索し1993年のオスロ合意(パレスチナ暫定自治協定)に至る紛争沈静化の流れができたかに見えた時に突如テロ組織としての活動を活発化したのがハマス。だからハマスは英米イスラエルの戦争屋が育てたのだとの見方もあります。昨年10月のハマスによるイスラエル攻撃もいかにも偽旗でした。実際に起きていることを見ると、ハマスはイスラエルの敵としての役割を演じて、結果的にイスラエルによるガザの地上げを支援しているとも言えます。
ハマスは上手くイランに食い込んだのでしょう。お互い、敵はイスラエルだよね、だから仲良くできるよねと。その土台の上で、幹部をテヘランで死なせる。そういう偽旗かもしれません。イランは引き摺り込まれるのでしょうか。
戦争屋の思惑を想像すれば、大規模紛争が起きて兵器が大量に消費され、多くの市街地が破壊されれば軍需産業や復興の需要が期待できます。従来通りの戦争経済です。イスラエルもアメリカもイランも上の方は全員グルで、そっちを目指しているという見方はありうると思います。ただ、今回気になるのは、先行するウクライナで、引き摺り込んだロシアがずーっと優勢でウクライナのやばい秘密(民主党のサーバとか)が徐々に白日の下に晒される展開となっていることかと。
イスラエルがイランを戦争に巻き込んだらアメリカは参戦するでしょうか。仮に傍観した場合、第2のウクライナになる展開がありうるのではないか。日本にとっては原油価格どうなるという以上の興味関心を引きにくい事案ではありますが、ウクライナ(欧)、イスラエル(中東)と来れば次は台湾有事(東アジア)となる展開だって考えられるのだから、多少は関心を持ってフォローしたいものです。