20240603 WHOが国際保健規則「改正」

昨日夜に投稿された読売新聞オンラインの記事。Yahoo!ニュースにも転載されています。記事のタイトルは「より深刻な感染症には『パンデミック緊急事態』発令可能に。WHO事務局長『世界はより安全に』」。

 

で、内容を読んでみるとこれが全然よくわかりません。「感染症の拡大が『緊急事態』よりも深刻化した場合に(WHOは)『パンデミック緊急事態』を発令することができるようになった」「全会一致で改正した」「パンデミックの定義が明確になった」「テドロス事務局長が『我々は、そして世界は勝利した』と述べ、議場からは拍手が上がった」と解説されていますが、パンデミック緊急事態をWHOが宣言すると何がどうなるのかの記述がありません。しかし読売の書き振りは嫌な感じですね。いかにも各国がパンデミック緊急事態宣言の新設を歓迎しているようなニュアンスです。違うでしょ。

 

実際のところは林千勝さんがXで解説しています。WHOによるこの決定は、まず委員会で行われ、出席数はおよそ1/3。定足数の確認無し、議決なしで議長が改正案を本会議に提出すると告げただけ。本会議も出席数は1/3。議長は賛否を数えず「異議はないですね」方式で改正案の決定を宣言。これが「全会一致」の正体らしいです。ちなみにWHOの3カ国は194と言われています。会議後に日米中など37カ国が賛成表明、ロシアイランアルゼンチンなどは反対表明。イギリスは総選挙があるからといって態度保留とのこと。読売の記事はミスリーティングです。

 

なお日本などでデモが騒いでいる「パンデミック条約」は並行して審議されてきたものの、合意に至らず、あと1年議論して決めるということになりました。その理由は途上国と先進国との間の対立が解消できていないからと説明する記事が多いのですが、要するに途上国はワクチンなどは無償(特許権放棄)で供給しろと主張し先進国側はそれでは(本来の目的である?)製薬企業の儲けが出ないからダメ、と反論して歩み寄れていないのが実態だとか。じゃあ1年経っても無理だろうから、またインチキ採決を画策して揉めるんでしょうね。ていうか1年後にWHOってあるのかな。

 

よく知られたようにWHOは国連の一機関のような顔をしていますけど、拠出金のランキングを見るとビル&メリンダゲイツ財団とか、GAVIアライアンス(ワクチン推進団体)が上位にきていて、まあワクチン利権の世界的拡大を推進する組織としての性格が強いわけです。とんでもない団体なんだから、トランプが脱退するぞと言うのも尤もなところがあるし、日本も早く抜けてほしいくらいですね。

 

蛇足ですが昨日の港区長選挙でまた自公維の推薦した現職が落選しました。投票率は3割。港区の有権者数って20万人しかいなくて、そのうちたった6万人の投票で決まるんですね。4年前の前回と投票率はあまり変わりませんでした。僅差でしたが、自民党が推薦したと言うだけで現職はかなりダメージを負ったのでしょう。