しかしである。

 

陰謀論が言うように世界には裏の支配者がいて全世界の指導者やメディアを意のままに動かしていて、人口が多すぎることを嫌がっていてウイルスは怖いぞと脅かして毒を含んだワクチンで大量虐殺を進めているとするなら、それがこうして広まっている時点でどうなのと言うことである。

 

歴史上、「彼ら」はその種の悪行を数々行ってきていることになっている。特に指摘されるのは世界大戦だ。第一次も第二次も「彼ら」が仕組んだ、ナチスは彼らが育てた、ソ連共産主義は彼らが生み育てた等々。日本の明治維新も彼らが仕組んだ、新政府側と幕府側とどちらが勝っても良いように巧妙に両建てで臨んだ云々。

 

我々はそのような事実があったとしても知らずにこれまできた。金融家が戦争を仕掛けるという話は教科書にも載っていないしテレビでも言わない。探せばそういうことを書いてある書籍がないわけではないが、意図をもって探さなえればないも同然だ。

 

つまりこれまで「彼ら」の活動はカーテンの向こうだったのだ。それが、今回はガラス張りに近い。

 

解釈はとりあえずふた通り。一つは、今我々の目の前で起きていることやそれを説明する陰謀論はカムフラージュであるということ。もう一つは、「彼ら」の能力が相対的に落ちているということ。これを逆にいうと仕掛けられる側の探知能力や拡散能力が上がっているということ。

 

自分は100歳を超えて死去した先代のロックフェラーが来日した時の新聞記事を思い出す。長銀が破綻して外資の力を借り新生銀行に衣替えした時、その社外取締役になったのだ。おお、いざという時にはけっこう最前線に出てくるじゃないか、と思った。

 

たかだか日本の一銀行の乗っ取りに自ら出てくるのである。こういうバイタリティが世界支配の原動力かと思えば思える。だから相対的な力量の低下説はありうるという感じもする。

 

一方、心配なのは全てがカムフラージュだという説を考えたときに、何をカムフラージュしているのかが想像できないことだ。ないのかもしれない。あるとすると支配層のアップデートか。光側とか呼ばれている連中が入れ替わるとして、それが新しい「彼ら」になる可能性は、考えておいた方が良いかもしれない。